【家族信託×節税】地主に暦年贈与の提案!?受益権の暦年贈与スキームの解説!

2021年03月16日

 

今回は【家族信託×節税スキーム②】をテーマにお話をしていきます。

第2回目となる今回は、受益権の暦年贈与がテーマです。

暦年贈与とは一般的な相続税対策の一種ですが、その暦年贈与と家族信託がどのようにクロスオーバーしていくのかを解説します。

 

暦年贈与はコストがかかる

まず、相続税の節税が必要な資産家として、地主さんの例を考えてみましょう。

地主さんは、土地等の不動産をたくさん持っていますが、現金についてはあまり持っていない場合が多いです。

節税スキームの一つとして暦年贈与がありますが、地主さんに対しては、暦年贈与の提案は通常しません。

コストがかかるからです。

不動産の暦年贈与にかかるコストとしては、

    • ① 不動産取得税(3%)
    • ② 不動産登記にかかる登録免許税(2%)
  • ③ 司法書士費用

などがあります。

これが、毎年毎年かかってしまうのです。

 

受益権の暦年贈与であれば、コストがほとんどかからない

ではここで、地主さんが家族信託を行うとどうなるのでしょうか?

事例で考えてみましょう。

地主さんである父と、その子がいたとして、

委託者を父

受託者を子

受益者を父として信託契約を締結し、父が所有する不動産を子に信託します。

これにより不動産の名義は、子に移転します。

すなわち、実体法上の不動産の所有権が受託者である子に移転し、委託者である父は受益権を取得することになります(自益信託)。

父の財産である不動産が受益権化され、暦年贈与の対象が、受益権になったということです。

暦年贈与にかかるコストは、あくまで所有権の移転に対してかかってくるものですから、受益権の暦年贈与であれば、コストがほとんどかかりません。

用意する書類は

  • ① 贈与契約書
  • ② 確定日付のある受託者の承諾書

の2つだけであり、確定日付の取得費用は1通700円です。たいへんお得です。

家族信託を行うことによって、地主さんであっても暦年贈与をすることができるようになるのです。

1人あたり年110万円分の受益権を贈与するとしても、人数や期間により結構な金額を贈与することができます。

また、暦年贈与は、年110万円でなければならないわけではありません。

例えば400万円分ぐらい贈与しても実質の負担税率はあまり高くありません。

相続税の税率と比べたらよっぽど安くなります。

年110万円以上を贈与して先に贈与税を払っ

てしまう方法もあるわけです。

受益権の評価も難しくはない

また、受益権の評価については評価が難しいのではないかと思われがちですが、これも難しくはありません。

受益権の評価は、相続税法9条の2により、相続税評価とされます。

したがって、信託財産である不動産を通常どおり相続税評価にて評価すればよいのです。

 

受益権の贈与をする際の注意点

ここまで受益権の贈与の有効性についてお話してきましたが、受益権の贈与には注意点が2つあります。

1つ目は、受益権の贈与の段階では、不動産取得税や登録免許税等の移転コストはかかりませんが、信託終了時には、これらはかかってくるという点です。

2つ目は、負担付贈与とみなされてしまう場合です。

抵当権付の不動産にかかる受益権を贈与する場合は、負担付贈与とみなされ、時価での評価となり、また、譲渡所得税がかかってしまう場合がありますのでお気を付けください。

したがって、受益権の贈与は、前述のとおり2つの書類を作成すれば簡単に贈与できますが、実行にあたっては慎重な検討が必要となりますので、信託の組成に関わった専門家や信託税務に精通した税理士に相談の上、行って頂ければと思います。

まとめ

通常の暦年贈与はコストがかかりますが、家族信託を行って受益権の暦年贈与をした場合は、あまりコストがかからないため、地主さんなどの相続税対策が必要な方におすすめです。

ただし、注意点として

・受益権の贈与の段階では、不動産取得税や登録免許税等の移転コストはかからないが、信託終了時には、これらがかかってくる

・抵当権付の不動産にかかる受益権を贈与する場合は、負担付贈与とみなされ、時価での評価となり、また譲渡所得税がかかってしまう場合がある

という2点があげられます。

実行にあたっては慎重な検討が必要となりますので、ぜひ信託の組成に関わった専門家や信託税務に精通した税理士に相談の上、行ってください。