上場株式を信託する際の注意点!

2021年03月16日

【上場株式を信託する際の注意点~前半動画~】

【上場株式を信託する際の注意点~後半動画~】

本日は、上場株式を信託する場合にどのような手続きをとればよいのか?

あるいは、どのようなことに注意をしたらよいのか?

上場株式を信託する際の手続きの流れとその注意点について解説します。

 

そもそも上場株式を信託することができるのか

答えは『上場株式の信託はできる』です。

ただし、実務上、取扱いができる証券会社が少ないのです。

上場株式を信託する時の実務上の対応

まず、証券会社が家族信託用の口座開設に対応している場合は、

信託口口座を開設して委託者の口座からの信託口口座へ証券等を移動することによって手続きが完了しますが、

証券会社が家族信託用の口座開設に対応していない場合は、対応可能な証券会社に移管しなければなりません。

つまり、証券会社Aで家族信託用の口座開設ができないのであれば、

口座開設が可能な証券会社Bで口座を開設し、証券をそちらに移管するイメージです。

移管する時の注意点

委託者が有していた資産が株式だけでなく、債権や投信などが含まれていた場合には、

新しく信託口口座を開設する証券会社Bにおいて、それらの商品を取り扱っていない場合があります。

つまり移管する時に、商品によっては移管できないという問題が生じる可能性があるのです。

その場合は、移管できる商品を証券会社Bに移管し、

移管できない商品についてはそのまま証券会社Aに残さざるを得ないということになります。

場合によっては、信託財産の内容を見直さなければならないかもしれません。

上場株式を信託することの注意点

①特定口座の作成ができない

したがって一般口座を利用することになるため、受益者から確定申告の必要性が出てきます。

特定口座特有の特典がなくなることがまず一つの注意点です。

②本人確認のハードル

証券会社の株式を家族信託用の口座に移管する手続の際には、当然、委託者の本人確認手続が、証券会社の担当者から入ります。

通常の信託契約では、公証役場での本人確認手続がまず一つのハードルとなっていましたが、

上場株式を信託する場合は、証券会社からの本人確認手続もプラスされることによって、

ハードルが上がることになるので注意が必要です。

③他の信託する財産と分けて契約書を作成する必要がある

上場株式を信託する際には、その証券会社が指定する文言を契約書に入れないといけなかったり、契約書の内容を変えないといけない可能性があります。

そうなると、例えば上場株式と不動産を一緒に信託したい時には、お客様のニーズに沿わない契約書ができてしまう可能性があります。

この場合、不動産を信託する契約と、上場株式を信託する契約を分けて契約書を作成する必要があります。

④長期保有による株主優待が受けられない

上場株式を信託して家族信託用の口座に移管すると、株式の保有期間は基本的にリセットされますので、

今まで株主優待を何らかの形で受けていた方については、それが受けられなくなることになってしまいます。

上場株式を信託する際の手続き

まず、証券会社の担当者に連絡をとることからスタートします。

そして証券会社の担当者がいる支店または本店で、契約書の文案をチェックしてもらいます。

これは、公証役場で信託契約を締結する前に行います。

そしてこの文案のチェックが通ったら、公証役場で実際に信託契約を締結します。

次に、証券会社に口座開設の申込み手続を行います。

その際、「口座開設申込書」とあわせて、公証役場で締結した信託契約公正証書の提出がこの時点ですでに必要になりますので、その点はご注意ください。

その後、家族信託用の口座が開設されます。

そして委託者の元々保有していた口座から、移管の手続きをとります。

口座開設の申し込みから移管の手続きが終わるまでの期間はおよそ1か月前後です。

手続きスタートからの全体のスケジュール感としては、早くても2か月から3か月ぐらいかかるイメージです。

信託契約書についての注意点

こちらも証券会社によっては運用が異なる場合がありますので、おおよその証券会社に共通している内容を4つ挙げていきます。

①受益者連続型の信託契約書は基本的に不可

委託者兼受益者の方が亡くなったら信託はもう終了させてくださいという内容は、どこの証券会社においても指示がある内容です。

②受託者を一般社団法人などの法人ではなく、個人とする

さらにこの個人にも限定があり、財産を預ける委託者兼受益者の一定の範囲内の親族にする必要があります。

③形式として、公正証書での信託契約の締結がマスト

今のところ、私文書で口座開設に応じる証券会社は見たことが無いため、どこの証券会社でも公正証書による必要があるかと思います。

④後継の受託者を必ず定める

受託者が亡くなったり判断能力が無くなってしまった時のために、後継の受託者を必ず定めてくださいね、という証券会社は非常に多いです。

そこで第二受託者まで、きちんと定める必要があります。

証券会社ごとにによって運用は様々ですが、以上の4つについては、信託契約書の条件として入ってきます。

そのほか、証券会社によっては信託する財産が3000万円以上からでないと口座開設に応じないなど、下限を設けていることもあります。

ですので、口座開設予定の証券会社に対しては逐一確認して手続きすることがマストになってくるでしょう。

なお、証券会社によっては信託するのではなく「代理人登録」をおすすめされることがあるかと思います。

この代理人登録とは何かというと、ご家族の方が代理人として証券会社に登録することによって、

そのご家族の方が委託者の代わりに株式を売買・管理などの手続きをすることができるようになる制度です。

ただし、この代理人登録制度には注意点があります。

例えば、今から認知症対策をしたい方が実際に認知症になってしまい、判断能力が無いと証券会社に知れてしまうと、

口座凍結されて手続きができないことになるため、根本的な認知症対策にはならないのです。

もう一つの注意点は、この代理人登録をしてしまうと、他のご家族の方にとっては「代理人が勝手に手続きをした」と言われ、後の紛争にも繋がる可能性があるということです。

したがってこの代理人登録制度を利用する場合は、家族間の関係性としっかり考慮して利用してください。

今回は、上場株式の信託について詳しくお伝えしました。

内容について、ご質問等ありましたらお気軽にご連絡いただけますと幸いです。