家族信託は誰に頼めば安い?司法書士VS行政書士VS弁護士

2021年04月06日

家族信託を専門家に依頼しようと考えている場合、コストはどのくらいかかるのか、気になりますよね?

家族信託のコストは、専門家への報酬と実費部分(公証人手数料、登録免許税など)とに大きく分けられます。

実費部分は誰に頼んでも変わらないので、コストを考える上では、専門家への報酬がどのくらいになるかがポイントになります。

今回は、法律の専門家である弁護士、司法書士、行政書士の中で誰に依頼した場合に一番安いのかを解説します。

 

報酬相場

専門家に家族信託を依頼する場合、主に下記の費用が発生します。

なお、昨今家族信託の費用相場が固まりつつあるため、専門家の種類による報酬の差は実はそこまで大きくありません。

コンサルティング費用

家族信託の相談から設計・組成をする際にかかる費用です。

相場は財産額の1%(最低30万円)~、1億円以上は0.5%~が多いです。ただし、難易度によって加算がある場合があり、加算額も0.5%程度と大きい場合もあります。

信託の内容によって、報酬の金額がかなり異なるということですね。

例えば、不動産(2500万円)、金銭2500万円を信託する場合は、報酬は50万円になります。

なお、不動産がある場合の財産額の評価の仕方は各専門家・事務所で異なる可能性があります。

不動産には時価(売買される際の相場)、路線価(土地の相続税計算の基準)、固定資産評価(固定資産税計算の基準)の三つの評価額があり、このどれを取るかによって計算が大きく変わってくる可能性がありますので注意しましょう。(時価を1とすると、路線価が0.8、固定資産評価が0.7程度になります。)

一般的には、固定資産評価額を参照するケースが多いかと思われますが、専門家に正式に依頼をする際には、どの評価を採用しているか確認をしておくとよいでしょう。

契約書作成費用

家族信託契約書の作成費用です。相場は10~15万円程です。上記のコンサルティング費用と一体とされている場合もあります。

登記費用

相場は10~15万円程です。

ただし、コンサルティング・契約書作成を司法書士以外の専門家に依頼し、登記のみを司法書士に依頼する場合は、上記相場より高くなる場合があります。

なぜなら、この場合、司法書士は登記をするだけではなく、契約書のチェックなどを別途行わなければならなくなるためです。

実費

上記報酬以外に下記実費が費用としてかかります。(金額は財産額に応じて異なります)

公正証書実費・・2~10万円以上

登録免許税・・・5~15万円前後(不動産が土地1筆・建物1棟の場合)

その他実費・・・郵送費、住民票、評価証明書、登記簿謄本等の取得費用(1~3万円程)

 

そもそも弁護士・司法書士・行政書士は何が違うのか

まず前提として、家族信託は家庭の事情に合わせて信託を組み立てる必要があります。

財産がどのくらいあるのか?信託する財産の中に不動産はあるのか?財産の承継先はどうするのか?などなど・・

この内容に応じて専門家に支払う報酬も変わってきます。

また、同じ内容で依頼しても、専門家によってカバーできる範囲が異なるため、単純に報酬の高い安いだけで判断するのは危険、という面もあります。

一見報酬が安く見えても、司法書士に依頼しない場合には、別途登記手数料が発生して、結果的に総額では高くなってしまった、ということもあり得ます。

そのため、専門家に依頼を検討している場合は、コスト面だけでなく、依頼内容にマッチした専門家に依頼することも大切です。

下記では、各専門家が何を得意とし、どこまで対応できるのか、どのような場合に依頼するのが良いかを簡単にまとめています(家族信託に関する部分に限定します。)ので、ご自身の依頼内容にはどの資格者が一番マッチしそうか、考えてみてください。

弁護士

<得意分野>

法律全般(ただし、弁護士により専門分野がことなります)、裁判、交渉

<対応分野>

家族信託において、全て対応できます。(ただし、税務申告を除く)

<依頼すべきケース>

信託をすることにより紛争が顕在化する恐れがある場合は、弁護士に依頼をするのが良いでしょう。

例えば、推定相続人間の後継ぎ問題や財産承継の方法などで、信託をすることにより紛争が顕在化したり、法律的に複雑な問題を抱える場合があります。

資産家や地主さんは、このようなケースに当てはまりやすいかもしれません。

紛争解決は弁護士の専門分野でもありますし、いざとなったら弁護士に代理人として交渉してもらうことをお願いすることもできます。

なお、司法書士と行政書士は、紛争が顕在化した場合に代理人となることはできません。

司法書士

<得意分野>

登記

<対応分野>

家族信託において、ほぼ全て対応できます。

<依頼すべきケース>

財産に不動産がある場合は、登記の専門家でもある司法書士に依頼すべきでしょう。

家族信託においては、認知症対策としてご自宅や収益不動産の管理・処分を受託者(子など)に任せたいというニーズが多いため、不動産を信託することが多々あります。

登記は、法律上は弁護士でも扱うことはできますが、弁護士に依頼した場合でも、餅は餅屋で登記は司法書士に外注されることが多いです。

信託の登記は不動産登記の中でも例外的で少し特殊な登記だからです。

その為、不動産を信託する場合は、登記の専門家である司法書士に依頼するのが最適です。

行政書士

<得意分野>

書類作成

<対応分野>

信託契約書の作成

<依頼すべきケース>

行政書士は書類作成のプロです。そのため、信託契約書の作成は行政書士の専門分野です。

ただし、弁護士、司法書士とは異なり登記を扱うことはできません。

したがって、行政書士に依頼すべき場合は、信託財産に不動産がなく、かつ、紛争も顕在化しないものに限定されます。

例えば、父が認知症になった場合に預金口座が凍結されると困るので子を受託者として金銭の信託をしたい場合や信託契約書だけ専門家に作成してもらいたい場合などです。

 

結局、家族信託は誰に頼めば一番安い?

専門家報酬が相場から大きく外れない専門家を選ぶことを前提した場合には、司法書士にサポートを受けるのが一番費用を抑えられる選択となるでしょう。

なぜなら、司法書士であれば契約内容のコンサルティングから登記まで一気通貫で依頼することができ、その分登記を外注する他の士業よりも登記手数料が安く抑えらえる可能性が高いためです。

一般的な専門家コストの目安としては、弁護士>司法書士>行政書士という順番で報酬は高くなる傾向にありますが、家族信託は登記手続きが入るため、この基準とは異なった結論となるのです。

 

まとめ

家族信託は、不動産を対象とするケースが非常に多く、取扱件数が最も多いのは司法書士であろうと考えられます。

某金融機関が公開した、信託口講座の開設依頼持ち込み件数の統計データでも、7割型が司法書士であるとされていました。

件数が多いということは、慣れている専門家も多いと言えますので、家族信託の相談をする場合には、家族信託の実績をある程度持っている司法書士に相談するのがいいかもしれません。

ただし、紛争性をはらんだ複雑な案件の場合には弁護士に、信託の対象に不動産を含まず、契約書の作成を依頼するだけなら行政書士に依頼するという選択肢もあります。

専門家に家族信託の依頼を検討されている場合には、ぜひご参考にしてください!

 

 

この記事の監修者

司法書士 梶原隆央(かじわらたかひさ)
神奈川県出身
平成21年司法書士資格取得
トリニティグループの信託部門にて、 実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、 自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。