手続きは難しい?信託不動産の売却について解説します。

2021年05月13日

(後半動画はこちら)

 

みなさんこんにちは!

トリニティグループ司法書士の田村です。

今週のテーマ「信託した不動産の売却」についてお話をさせていただきます。

 

実際、信託し終わった後に不動産をどうやって売却していこう?と悩んだ方いらっしゃるかと思います。

今日はこちらを説明していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

1.信託した不動産の売却について

まず、信託した不動産の売却については、そもそも何を売るのか?という問題があります。

すなわち、不動産そのものを売るパターンと、

受益権を売るパターンのどちらを実行するのか、という問題です。

家族信託であれば、当然前者のパターンが想定されますが、

関係当事者とのコミュニケーションにおいては、その旨を明確にしておかないと、認識の齟齬が生じる可能性があります。

具体的な手続き

1つ目の現物を売るパターンは不動産を売却するというイメージを持っていただければわかると思います。

一方で、前述のとおり、受益権の売却については、家族信託ではあまりないですが、

受益権という権利だけを売却することもできますので、その点は押さえておきましょう。

今回は、現物の不動産をそのものを売却するときのポイントを見ていきたいと思います。

 

2.不動産を売却する際のポイント

①信託契約書に不動産を売却することができる旨の定めがあるかどうか?

これは非常に重要なポイントです。

これが定められていないと、そもそも売却することができません。

ですので、お手元の信託契約書で売却ができる旨が書いていない場合は、信託内容の変更をする必要があります。

信託の変更も契約ですので、委託者、受託者で契約をして変更をするのですが、

早めにやらないと、例えば委託者の方、受益者の方が認知症になってしまい、信託の変更そのものができなくなってしまうというリスクがあります。

その為、まずは信託契約書に不動産を売却することができる旨があるのか1番に確認してください。

②売却手続きについて

通常の不動産の売却の場合のフローとほぼ同じです。

具体的にどういうことかと言いますと、不動産を売却する場合は不動産仲介業者と媒介契約、買主様との売買契約、引渡しというフローで流れていきます。

信託をしていれば、この一連のフローというのは、全て受託者ができます。これが信託の一つの大きなメリットですね。

 ③受託者〇〇と書くようにする

本日お伝えする最後のポイントです。

実際に売却手続き等をする際に、例えば売買契約書にサインしたり、領収書にサインをしたり等、

様々な局面で受託者の方のサインが必要になります。

その時には単純に受託者のお名前を書くだけではなく、「受託者 〇〇」と書くようにしてください。

なぜかと言いますと、受託者の方が自分は「受託者として」今回不動産の売買をしているのだということを明確に表わすためです。

(より明確に特定するため、「委託者○○信託受託者○○」とする場合もあります。)

 

3.現物である信託不動産を売却したときの税金

不動産を売却した時は様々な税金がかかりますが、その中で1番有名どころが譲渡所得税です。

譲渡所得税とは何かと言いますと、売った不動産を取得した時の価格と売却した時の価格を比べて、

売却した時の価格の方が高い、つまり利益が出た場合にその利益に対して課税される税金です。

 それではポイントを3つ紹介します。

①所有期間の判別

譲渡所得税というのは所有期間が5年を超えるか5年以下かで税率が大きく変わってきます。

もともと信託をしていない場合の所有期間は不動産を持っている人をベースに考えれば良いですが、

信託をした場合で家族信託の中で一番多い委託者と受益者が同じ人の場合は、

委託者が実際に取得した日から所有期間を計算します。

つまり信託していない通常の不動産と考え方は同じです。

②3000万円の特別控除

こちらは居住用の不動産を売却した場合に使える控除です。

3000万円引けるのでかなり大きい控除になります。

こちらも信託の場合にももちろん使えます。

ただし、ポイントとして特別控除を使う場合の適用要件を満たす必要があります。

一番大きいのは誰の居住用財産かという部分です。

信託でない不動産の場合は、物件を持っていて、そこに住んでいる人が売るのであれば使えますが、

信託の場合は受益者を基準に判断します。

受託者ではなく受益者です。

ですので、受益者の居住用財産かどうかがポイントとなってきます。

③実際に譲渡所得税を払うのは誰か?

という論点についてです。

前半部分で売却の手続きは全て受託者ができると説明しましたが、売った後の税金は受益者が払います。

税法上、信託財産から利益を得る者に課税をするという考え方があるので、

信託財産から利益を受ける者はだれかと言うとまさに受益者になるわけです。

ですので、手続きは受託者の人ができますが、実際に納税義務があるのは受益者ということになります。

今回のまとめ 

では最後にポイントをおさらいしたいと思います。

まず1つ目は 信託不動産を売却したい場合は信託契約書の中に、信託不動産を売却することができると書かれているか否か というポイントです。

2つ目は

信託不動産を売却するときの手続きは通常の不動産を売却するときと同じ ということ。

この一連の手続きは受託者の方が全てできます。

3つ目は 受託者の方が売却の手続きの中で書類にサインをする際の名義の記載方法は、「受託者〇〇」として、受託者ですよというのが分かる形にする こと。

4つ目は

所有期間については、委託者=受益者であれば委託者をベースに計算 します。

3000万円の特別控除については、受益者の方の居住用財産かどうかで判別します。

最後に、税金の実際の納税者は受益者 になります。

以上、現物である信託不動産を売却するとはどういうことかということをご説明させていただきました。