家族信託の重要人物〜信託監督人~

2021年06月30日

この記事では、「家族信託の重要人物〜信託監督人〜」と題して、家族信託における「信託監督人」についてお伝え致します。

受託者の財産管理に不安ある場合など、活用できる場面は多くあるので、お心当たりのある方はぜひご一読ください

信託監督人の出番はいつ?

家族信託は、財産所有者(委託者)が信頼できる家族(受託者)と、財産を託す契約(信託契約)を締結することによって開始します。

財産の管理方法や、受託者に認められた権限などは、すべて信託契約の内容によって定められ、受託者には、その契約内容を遵守する義務があります。

しかし、信託会社や信託銀行などが受託者を務める商事信託と違い、家族信託においては、受託者が法律や財産管理について専門的な知識をもっていないことがほとんどです。

なので、家族信託が長く続く間に、受託者が財産管理をしきれなくなったり、契約内容を無視するようになってしまうかもしれない・・・と不安になる方もいらっしゃいると思います。

このような場合、受託者の財産管理方法は適切か、きちんと契約内容を遵守しているのかを監視、監督する役割の方が存在すれば、安心できますよね。

そこで、登場するのが、信託監督人という立場です。

信託監督人の仕事(事例)

ここからは、具体的にAさんのケースをもとに、信託監督人の役割について説明します。

Aさんには、長男と次男の二人の子供がいます。

長男は自立をしていて、特段心配することはないのですが、次男は障害を抱えており、自分一人で生活をすることが難しい状態です。

Aさんは、自分の死後、次男が長男のサポートを受けながら生活できるように、家族信託を利用することにしました。

信託契約の概要は次の通りです。

・委託者 Aさん(父)

・受託者 長男

・受益者 次男

ただし、次男が受益者になるのは、Aさんの死亡後。

Aさんの死後、長男は次男のために、Aさんの残した財産を管理していく内容の家族信託契約を締結したわけです。

Aさんは、長男を信頼していますが、やはり、自分の死後、長男が信託契約の内容を守らなくなってしまい、次男の生活に支障がでることを心配しています。

このような場合、信託契約で信託監督人を選任すれば、受託者の業務を監督してもらうことができます。

信託監督人には、受託者を監督するために必要な権限が認められています。

具体的には、次のような権限があります。(信託法92条各号)

 

・受託者が信託財産に損失を生じさせた場合の損失てん補請求権

・受託者が権限外の行為をした場合の取消権

・受託者の行為の差止め

・裁判所に対する受託者の解任申し立て権

・その他、信託契約で定めた権限 等

 

信託監督人が選任される場合として、Aさんのケースのように、受益者が障碍者である場合のほか、受益者が認知症や未成年者である場合などが挙げられます。

つまり、受益者自身が受託者を監督することが困難な事情があるときに、受益者を保護する目的で設置されるのが信託監督人なのです。

ただし、受託者自身が財産管理に自信がない場合に、受託者自身の希望によって、受託者の職務をサポートしてもらう意味で、この信託監督人を選任するケースもあります。

信託監督人には誰がなる?

さて、信託監督人を選任する場合、誰を選任するのが適切でしょうか?

信託監督人には、次の例外(欠格事由)を除き、法的には誰がなっても問題ありません。

 

・未成年者

・成年被後見人又は被保佐人

・当該信託の受託者自身

 

つまり、受託者以外の方であれば、基本的には、どなたがなっても問題ありません。

財産内容がシンプルな一般のご家庭であれば、身近な親族になってもらうだけで問題ないでしょう。

また、より厳格に監督してもらうことが必要であれば、税理士等の士業が信託監督人になることも可能です。

収益物件等の不動産を多くお持ちの方などは、普段から税務を依頼している税理士さんに信託監督人になってもらうケースもあります。

まとめ

今回は、家族信託における重要人物として、信託監督人についてご説明をしました。

受託者の財産管理に不安が生じた場合、信託監督人という制度を活用することにより、安心して家族信託を利用できると思いますので、心当たりのある方は、ぜひ一度ご検討ください。

 

この記事の監修者

司法書士 梶原隆央(かじわらたかひさ)
神奈川県出身
平成21年司法書士資格取得
トリニティグループの信託部門にて、 実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、 自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。