家族信託を考えているけど、受託者となってくれる家族がいないとき

2021年07月09日

家族信託の大きな魅力の一つは、「第三者を関与させず、家族の中で、家族にあった財産管理をしていけること」です。

家族信託において、受託者を誰にするかということは最も重要なことといっても過言ではありません。

しかし、中には「受託者をお願いできる人がいない、、、」という方もいらっしゃいます。

今回は、「家族信託を考えているけど、受託者となってくれる人がいないとき」をテーマにお伝えしていきたいと思います。

受託者となってくれる人がいない場合とは?

具体的にどのような場合が考えられるでしょうか?

 

・おひとり様や子供のいらっしゃらないご夫婦

・信頼できる子供はいるけれども、日々の生活や仕事でいそがしく、自分の代わりに財産管理を頼むことができそうにない。

・信頼できる子供はいるけれども、海外や遠方に住んでいる。

・子供はいるけれども、疎遠になってしまっている。

・子供が障がいなどを持っており、ご自身で財産管理ができない。

 

等のご事情があげられるかと思います。

このような場合に、本当に家族信託を組成することはできないのか、また他にどのような制度を活用すれば悩みが解決できるのかをみていきましょう。

受託者は家族でなければならない?

まず、家族信託の受託者は本当に家族でなければならないのでしょうか?

「家族」という名前がついているため、この点はよくお客様からもご質問をいただきます。

結論からお伝えしますと、必ずしも家族である必要はありません。

家族信託は、別名で「民事信託」と呼ばれます。商事信託と対になる言葉です。

商事信託とは、信託銀行や信託会社等、プロに財産を託して管理や運用を依頼する形の信託をいいます。

財産管理・財産運用のプロに依頼して行うものですから、当然手数料もそれなりに高額になります。

信託銀行や信託会社など、金融庁から免許を受けている会社のみが商事信託の受託者となれることとなっています。

一方の民事信託とは、プロではなく信頼できる身内の人を受託者として行う信託のことをいいます。

したがって、家族(配偶者やお子さん、兄弟等)でなくとも、信頼できる方であれば誰でも受託者とすることができます。

例えば、甥っ子や姪っ子、あるいは身内以外の友人などでもよいのです。

私たちがご相談を受けた事例の中でも、最も信頼できるビジネスパートナーを受託者として自社株式の信託をした例がありました。

財産を託せる人がいない場合は?

「受託者は必ずしもご家族である必要はない。」とお伝えしましたが、とはいえ身内以外の個人にご自身の財産を託して管理を依頼するのは、容易にできることではないでしょう。

受託者候補者がいない場合には、家族信託以外の選択肢に目を向けることも大切です。

1つの方法として商事信託を利用する方法があります。

家族信託の普及に伴い、商事信託も以前より個人の財産管理や相続の場面で利用できるサービスが増えてきました。

金銭の信託であれば、金融機関でお手頃な手数料と簡単な登録方法で利用できるサービスが出ていますし、不動産の信託であれば、自社で信託会社を設立し、顧客が購入した物件の管理信託を受ける大手ハウスメーカーも出てきています。

家族信託と比較してランニングコストがかかること、財産管理の自由度が低いことがデメリットではありますが、先々、ご自身で財産を管理することに不安を感じる方にとっては、有力な選択肢になり得ると考えています。

家族信託か商事信託のどちらか一方と決めるのではなく、金銭は家族信託でお子さんに管理を任せ、不動産の管理は商事信託を使ってプロに依頼するという方法でもよいでしょう。

もう一つの方法としては、任意後見や成年後見を利用する方法です。

こちらも月々の費用がかかる、財産管理の自由度が失われる、特に成年後見の場合はどんな人が自分の後見人になるかわからない。等見過ごせないデメリットもある反面、家庭裁判所から選任される後見人は国が指定する研修を受けた者であり、また1年に1回、後見人から家庭裁判所に財産状況の報告義務がある等、一定の透明性が担保された制度でもあります。

また、もしも依頼できる弁護士、司法書士等の法律専門家がいれば、自身の体力の低下・判断能力の低下の場合に備えて任意後見契約を締結しておくことも考えられます。

認知後見であれば、自身の後見人を事前に選ぶことができます。

さいごに

今回は、「家族信託を考えたいけど、受託者となってくれる人がいないとき」というテーマでお送りしました。

お子さんのいらっしゃらない場合や、受託者をお願いできる家族がいない場合でも、選択肢はあります。

自分にはどのような対策が最適か、この記事を参考に今一度ご検討いただければ幸いです。

 

 

この記事の監修者

司法書士 梶原隆央(かじわらたかひさ)
神奈川県出身
平成21年司法書士資格取得
トリニティグループの信託部門にて、 実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、 自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。