自分の名前を書けないと家族信託はできない?

2021年07月09日

自分の名前を書けないと家族信託はできない?

本記事では家族信託を行えるかどうかの判断基準の一つとして「名前を書くことができない」ケースについて取り上げてみたいと思います。

家族信託を検討する際のご参考としてご覧ください。

家族信託と認知症

認知症で自身の名前が書けない場合は、信託契約は不可能ではないですが難しくなります。

契約行為は、判断能力のない人は行うことができません。 家族信託も契約行為になりますので、認知症で「判断能力」を失った人では信託契約の締結をすることは当然できず、家族信託ができないという結果になります。

認知症発症後では家族信託ができない理由は、判断能力がないからです。「認知症になった=家族信託ができない」ということではなく、判断能力の有無が判断基準となりますので、軽度の認知症であれば家族信託契約をできるケースはあります。

公証人の立ち合いにより、本人が家族信託の契約内容をしっかり理解していると確認できた場合には、家族信託の契約締結ができます。

手が震えて書けない場合はどうか

認知症の診断はされていないものの、加齢により手が震えて字が書けない場合はどうでしょうか。

手が震えて自身の名前が書けない場合であっても、家族信託は行う ことが出来ます。

また、この場合に、公正証書で作成することも可能です。

公正証書での信託契約では、最後に署名をする必要がありますが、自力で署名することが難しい場合には、公証人に代理をしてもらうことが可能です。

公証人が携わらない場合でも、厳格な要件を備えた委任状を作成して、本人の「委任をする意思があること・判断能力があること・委任内容の理解をしていること」などを事後的に証明できる条件の下で署名・捺印(全く字が書けない場合には代筆や押印の沿え手などで対応)し、必要な手続きを、信頼のおける方(ご親族など)に委任して対応する方法が考えられます。

契約の当事者が身体に障害を持っているなどを理由に自ら署名することができず、その署名を第三者である代理人が行った場合にあっても、契約は有効に成立します。

ただし、その場合でも当然、契約の内容をしっかりと本人が確認して同意する必要があり、その上で代理人に署名してもらわなくてはなりません。

まとめ

自分の名前がかけなくても、意思能力さえあれば、家族信託の契約は可能です。

逆に、認知症などによって意思能力を失ってしまった後は家族信託ができなくなってしまいますので、十分注意しましょう。

また、自分の名前が書けない方を当事者とする家族信託の手続きを進める場合には、関与する専門家や公証人にはあらかじめそのことを伝えておくと、その後の手続きがスムーズになります。

 

 

この記事の監修者

司法書士 梶原隆央(かじわらたかひさ)
神奈川県出身
平成21年司法書士資格取得
トリニティグループの信託部門にて、 実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、 自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。