家族信託終了後に信託財産はどうなるの?

2021年07月07日

家族信託が終了したら、信託財産はどのようになるのでしょうか?

今回の記事では、家族信託終了後の信託財産の行き先についてご説明いたします。

家族信託が終了する場合とは?

家族信託は、法定されている終了事由(信託法163条)の到来や、委託者及び受益者の合意(同法164条1項)により終了します。

※特別の事情による信託の終了を命ずる裁判等の裁判上の終了もあります。

また、信託行為に別段の定めをすることにより、信託の終了事由を別途定めておくこともできます(同法163条第9号)。

通常は、信託契約の内容として、信託の終了事由を定めておきます。

例えば、委託者兼受益者が死亡したとき、としたり、信託法第91条の期間の到来等、各家庭や当事者の事情に併せて終了事由を定めておきます。

家族信託が終了したら先ずしなければならないことは?

家族信託が終了すると、信託財産の清算手続きに入ることになります(信託法175条)。

清算手続きを開始するために、先ずは清算時の受託者(清算受託者といいます。)を選定することになります。

通常、この清算受託者は、信託終了時点の受託者がなることがほとんどです。

しかし、例えば、信託の終了事由に受託者が死亡したときと規定されていた場合、受託者は不在の状態になりますので、この場合には清算受託者を新たに選定しなければなりません。

信託終了時に残存する信託財産はどうなるのか?

そして、清算受託者において、清算手続きが進められます。

清算受託者の職務は、以下の内容に法定されています(信託法177条)。

 

①現務の結了

②信託財産に属する債権の取立て及び信託債権に係る債務の弁済

③受益債権(残余財産の給付を内容とするものを除く。)に係る債務の弁済

④残余財産の給付

 

特に、清算受託者は、②及び③の債務を弁済した後でなければ、残余財産の給付が行えません(同法181条)。

②、③の弁済を経て、残余財産となった財産を最後に受け取ることと定められた人に給付することとなります。

残余財産を受け取ることができる人は誰か?

信託法上、残余財産は以下の方に帰属するものとされています(同法182条1項)。

 

①信託契約に残余財産の給付を内容とする受益債権に係る受益者(「残余財産受益者」といいます。)となるべき者として指定された者

②信託契約に残余財産の帰属すべき者(「帰属権利者」といいます。)となるべき者として指定された者

 

多くの信託契約においては、②の帰属権利者が定められています。

信託契約に、残余財産の帰属権利者として、具体的な人を特定して定めておくことができますし、また、例えば、信託終了時の受益者を帰属権利者とすることもできます。

以上のように、帰属権利者として信託契約で定めた者に対して、清算受託者が残余財産を給付し、信託を終了させることとなります。

なお、前述の①、②の者として指定を受けた者の全てがその帰属権利者としての権利を放棄した場合又は死亡等により存在しない場合には、信託契約に委託者又はその相続人その他の一般承継人を帰属権利者として指定する旨の定めがあったものとみなされます(同法同条2項)。

もし、その承継人も不在等により残余財産の帰属が定まらないときは、清算受託者に残余財産を帰属させることとなります(同法同条3項)。

まとめ

今回は、家族信託終了後の手続きと信託財産の行き先についてご説明いたしました。

家族信託では、このように信託の終了時に誰に財産を残しておきたいかを予め定めておくことができます。

つまり、家族信託によって、信託財産に関しては、遺言を残したのと類似した効果を得ることもできるということです。

そのため、家族信託を組成する場合には、財産の帰属先をしっかりと規定しておくことをお勧めいたします。

 

 

この記事の監修者

司法書士 梶原隆央(かじわらたかひさ)
神奈川県出身
平成21年司法書士資格取得
トリニティグループの信託部門にて、 実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、 自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。