認知症で預金口座が凍結されると、具体的にどうなるの?

2021年03月26日

最近は、高齢で認知症になってしまった方の預金口座が凍結されたという話をよく聞きます。

預金口座が凍結されてしまうと、どうなってしまうのでしょうか?

この記事では、預金口座が凍結されてしまったどうなるのか、具体的に解説していきます。

 

認知症による預金口座の凍結とは

預金口座の凍結とは、キャッシュカードでの引出しや振込みによる出金ができなくなることをいいます。

銀行等の金融機関との取引に制限がかかった状態です。

例えば、口座名義人が亡くなって相続が発生し、金融機関がそのことを知ると、預金口座は、全面的に凍結されます。

その口座に入金することもできなくなりますし、引出しや公共料金等の自動引落としもされなくなります。

これに対し、認知症による口座の凍結は、一部凍結といったイメージであり、相続発生時の全面的な凍結とは少し違います。

金融機関により、実際の取扱いは異なりますが、認知症による口座凍結の場合は、全面的に凍結されるというわけではなく、自動引落としやその口座に対する入金は、引き続き可能なことが多いです。

しかし、引出したり、振込みによる出金をするには、窓口に口座名義人本人が行ったり、金融機関の職員に自宅に来てもらったりして面談する必要があり、そこで口座名義人本人の意思が確認できなければ、引出し等を拒否されてしまうというものです。

 

どういう場合に口座が凍結されるの?

口座名義人が認知症であると診断されたとしても、すぐに口座が凍結されるわけではありませんが、例えば以下の3つの場合など、何らかの方法により、金融機関にそのことが知られると口座が凍結されます。

 

①家族が不安に思って、積極的に認知症のことを金融機関に相談してしまった場合

②口座名義人が窓口に行き、手続きを行おうとしたが、その際に金融機関に知られた場合

③家族がATMで、毎日少しずつ限度額を引出していたが、金融機関に不審に思われ、連絡がきた場合

 

金融機関にばれないから大丈夫と思っていても、いざまとまった資金が必要となったときは、窓口での対応等が必要となり、困ってしまうことも多いです。

 

凍結されたら、どうすれば解除できるの?

口座が凍結されてしまった場合でも、解除する方法はあります。

成年後見人の選任を家庭裁判所に申立てて、選任してもらえば、成年後見人が口座名義人の代理人として法的に正式に手続きを行うことができるようになります。

ただし、成年後見人は、その預金口座の凍結解除のためだけに選任するということはできず、一度選任されると、口座名義人本人の全財産について管理し、代理していくものとしてスタートし、原則として、途中でやめることはできません。

また、法律専門職が成年後見人や後見監督人に就任すればその報酬がランニングコストとしてかかってくるため、費用面でも慎重な検討が必要です。

 

対策は?

まず一つ目の方法として、各金融機関が、代理人登録といった制度を用意している場合があるので、その制度を利用するという方法があります。

代理人登録制度は、あらかじめ家族などの代理人となる人を本人が指定して届出をしておけば、その代理人が本人の代わりに引出しや振込み等の取引をすることができるとするものです。

このような制度のない金融機関もありますが、この制度を導入している金融機関であれば、あらかじめ届け出て登録した代理人であれば、振込み等ができるため一定程度は凍結の対策になります。

しかし、口座名義人本人が認知症になり判断能力がなくなってしまった後は、自由に代理人による振込みを認めないとする金融機関もあり、万全の方法とまではいえません。

二つ目の方法は、家族信託です。

認知症になってしまう前に、金銭を家族信託して、受託者である家族に預けることができれば、凍結のリスクはなくなります。

 

まとめ

認知症で、口座が凍結されてしまうと、まとまった資金の引出しはできなくなってしまいますので、早めに対策をとっておく必要があります。

認知症になって、判断能力を失ってしまう前に家族信託をして、受託者へ金銭を移転しておきましょう。

また、認知症といっても軽いものから重いものまで程度があります。

認知症だからといって、即、家族信託ができなくなるわけではありません。

とはいえ、万が一のことを考えると、早めに専門家に相談しておくほうがいいでしょう。

 

 

この記事の監修者

司法書士 梶原隆央(かじわらたかひさ)
神奈川県出身
平成21年司法書士資格取得
トリニティグループの信託部門にて、 実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、 自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。