家族がキャッシュカードの暗証番号を聞くのは違法?認知症患者の預金管理方法

2021年03月30日

「親キャッシュカードでお金をおろしているのですが、これって違法なんでしょうか?」

高齢の親と同居し、介護をしている女性から相談を受けたことがあります。

その女性は、親の介護費用をねん出するため、親の銀行口座のキャッシュカードを預かり、暗証番号を教えてもらって預金を引き出している状況でした。

自分の口座ではない口座からお金をおろすことが、法的に問題ないのか、気になって相談をいただきました。

 

親の了解のもと行っている限り、違法ではない

親の口座から預金をおろす行為は、親に了解をとって行っている限り、違法な行為ではありませんので、安心してください。

ただし、銀行の決めた口座取引のルールでは、本人しか口座の引き出しを行えないことになっていますので、あまり大っぴらに行っていいものでもありません。

銀行によっては、黙認してくれる場合もありますが、後でお伝えする通り、本人の引き出しではないと思われる取引が続いた場合、銀行口座をロックされてしまうこともあります。

もっとも、窓口で預金をおろすためには、厳格な本人確認が必要となりますので、基本的には、ご本人である親に同行してもらい、預金をおろす手続きを行う必要があります。

 

他に兄弟がいるときは、要注意!勝手な預金の引き出しはトラブルの元

親の口座から預金を引き出すときに、まず気を付けないといけないのが、兄弟間のトラブルです。

介護を担っている兄弟のうちの一人が、勝手に親の預金をおろしてしまうと、たとえ、それが介護資金だとしても、他の兄弟から見れば「親のお金を独り占めしている」「親のお金を自分の口座に移している」等、あらぬ疑いをかけられるもとになります。

こうしたトラブルを避けるためには、兄弟にきちんと、口座の管理状況について説明をすることが重要です。

毎度、預金を引き出すごとに、兄弟に相談をするのは大変ですので、次の点に留意するとよいでしょう。

ポイント① 通帳の記帳はこまめに行うこと

兄弟に、親の口座の資金の用途について尋ねられたときに、いつ、どのくらいの金額をおろしたかどうかをきちんと記録していく必要があります。

家計簿のような形式でメモをとっていくことも、一つの方法ではありますが、かなりの手間がかかってしまいます。

こまめに通帳を記帳することで、いつ、どのくらいの金額を引き出したのかがわかるようになります。

ポイント② 介護費用の領収書はすべて保管しておくこと。

通帳の記帳だけでは、引き出した金額を何に使ったのかまでは、明確にならないため、何にその金額を使ったのか、すべて領収書を保管しておくようにしましょう。

領収書を毎度管理するのが大変な場合は、プリペイドICカードや、介護費用専用のクレジットカードを作るなど、自動的に資金用途が記録に残るような決済手段を利用するのも一つの方法です。

ただし、その方法をとる場合には、細かい資金使途についてまでは記録に出てこない場合もあるため、あらかじめどの程度の記録を残しておくのか、兄弟と話し合って決めるのがよいでしょう。

 

銀行によっては、口座を止められる場合がある。

最初にお伝えした通り、親の口座から預金をおろす行為は、違法ではありません。

ただし、銀行の定めた口座の利用についてのルールには、違反していることになるので、銀行によっては本人の操作ではないと思われる預金の引き出しが続いた場合、口座をロックしてしまう場合があります。

たとえば、限度額いっぱいの金額を、数日にわたって引き出すなどの操作が行われた場合、銀行のシステムがその操作を、異常な操作であると判断し、きちんとした本人確認が取れるまで口座をロックしてしまうといった事例もあります。

 

キャッシュカードの紛失や、磁気が消えると困る!

キャッシュカードを紛失したり、磁気が消えてしまうと、再発行をする必要がありますが、この手続きは、必ず本人から銀行に対する手続きを行う必要があります。

いま現在、ATMでお金をおろすことができていたとしても、今後、そのまま金銭の管理ができるとは限らないのです。

 

まとめ

高齢の方が銀行に出向くのが難しくなった場合、ご家族がATMで預金をおろすということはよくあることです。

特になんの手続きを経ずに、親の口座を管理できてしまうのですが、兄弟とのトラブルや、突然口座が使えなくなってしまうリスクがあります。

家族信託などの正式な手続きを踏んで、しっかりと安心して口座を管理していくことができるよう、事前の対策が重要です。

 

この記事の監修者

司法書士 梶原隆央(かじわらたかひさ)
神奈川県出身
平成21年司法書士資格取得
トリニティグループの信託部門にて、 実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、 自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。