本日は【障がいのあるお子様がいるご家庭の信託】についてご紹介します。

生活のサポートを必要としている家族がいる場合に、自身の死後、どのように支えてあげたらいいのか、不安に思う方もいらっしゃることでしょう。

遺言書は作成できますが、内容をきちんと執行できるでしょうか。

財産を引き継いだとして、その管理をしていけるのでしょうか。

自身の亡き後、どのように暮らしを支えることができるのか、家族信託を活用した事例をもとにご紹介します。

【参考記事】
家族信託とは?わかりやすくメリット・デメリットを説明します
家族信託は危険?実際に起こったトラブルや回避方法
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亡き後に大きな不安のある事例

自身の体力の衰えや物忘れをすることに不安を持っているAさんからのご相談です。賃貸不動産を所有していますが、今後も自分で管理していけるのか心配になったとのこと。

また、長女には知的障害があり、Aさんが亡くなった後、娘の暮らしはどうなるのかという不安から、家族信託という制度を知ったとのことでした。

【今回の事例】

● 家族構成
Aさん85歳(奥様は既に他界)
Aさんの子3人:長女Bさん、長男Cさん、次男Dさん

● 兄弟の状況
3人兄弟の仲は良好
父Aさんが亡くなった後は「自分たち(Cさん・Dさん)がBさんの面倒をみていく」と一致している。

● Aさんの資産状況
資産:都内に賃貸不動産を保有/まとまった金額の預貯金も保有

● 相談内容
(1)Aさん自身の認知症への心配
(2)Aさんの長女には知的障がいがあり、「自分に何かあったときに長女はちゃんと生活していけるのだろうか」という心配。

このような事例です。どのように問題を解決するといいのでしょうか。

子の生活を支える目的の信託契約

上記の事例では、まず、家族信託を用いて家族内で財産の管理ができるように設定します。

さらに、信託財産(賃貸物件)から得られる収益を長女Bさんが得られるようにして、また、Aさんの認知症対策のため、物件の管理は長男Cさんを中心に管理してもらう設定にします。

このような信託契約で、物件の管理はAさんがアドバイスしながら息子に任せることができ、収益をBさんの生活費に充てることができるようになります。

【1】管理をする「受託者」の設定

まず、今回、管理が必要な不動産を信託し、Aさん自身の能力が衰えた後も継続して賃貸不動産の管理、および、必要に応じて処分ができるよう長男Cさんを受託者 にしました。

長男CさんはAさんからの委託に沿って賃貸不動産の管理をし、毎月得られる賃料を信託用口座で管理し、Aさんの生活、介護、療養のために使っていくという信託契約を結びました。

【2】もしもに備えて「第2受託者」の設定

ここで万が一、父Aさんより先に長男Cさんに何かあった場合を想定します。

これは家族の状況により、とても大切なポイントになります。

もし受託者(Cさん)の方が委託者(Aさん)より先に亡くなってしまう、判断能力が低下してしまう、身体に何かが生じて受託者としての職務を続けられなくなる…といった事態を考えます。

Aさん家族には支えるべき長女Bさんもいますので、もしもに備えて「第2受託者」も決めました。この事例では、長男Cさんの子供(Eさん)が第2受託者を引き受けています。

【3】不動産を均等に分けるだけでは不安

また、今回の信託でポイントとなるのが、「Aさんは、ご自身が亡くなったとき、この賃貸不動産を誰に継いでもらいたか?」という点です。

Aさんは、この賃貸不動産は先祖代々受け継いできたものなのでこれからも守って欲しいという希望があり、また、障がいがあるBさんの生活の糧としてほしいという願いがあります。

そのため、受託者であるCさんと、障がいを持つBさんに2分の1ずつ賃貸収入を受け取って欲しいという希望があります。

しかし単に賃貸不動産を2分の1ずつの持分にしたとしても、長女Bさんは管理していけるのだろうか、という心配がありました。

しかも仮に売却が必要となったときに長女Bさんが売買契約を結べるのか、さまざまな点が気がかりです。

【4】信託は終了せず受益権を分割承継

そこで今回の事例では、Aさんが亡くなっても信託契約は終わらせず、AさんとBさんが二人とも亡くなるまで信託契約は続けていく という構成にしました。

AさんとBさんが亡くなった段階を信託の終了目標として構成し、残余財産は最終的にはCさんの子(Eさん=Aさんの孫)に帰属させる、といった形にしています。

(1)Aさんが亡くなった時点(信託は継続)

  • 賃貸不動産の管理は受託者Cさんが管理
  • 受益権はBさんとCさんに2分の1ずつ承継
  • 賃貸不動産からの毎月の賃料収入はBさんとCさんで半分ずつ分ける

(2)将来、BさんまたはCさんが亡くなった時点

  • BさんorCさんが亡くなった場合 … 受益権はCさんの子(Eさん)に承継
  • Bさんより先にCさんが亡くなった場合 … Eさんが受託者を引き継ぐ
  • BさんがCさんより先に亡くなった場合 … 信託終了/賃貸物件はEさんが承継

これによりBさんは安定した収入を得ることができます。また、Cさんの相続を利用してCさんの子(Eさん)が受託者の役割や受益権を引き継ぐ設定とします。

通常、受託者と受益者が1名ずつの場合であれば「受託者=受益者」となった段階から1年で信託は強制的に終了しますが、今回の事例では受益者が常時2名になるため信託は継続可能です。

【5】信託契約で相続手続きも兼用できる

また、信託契約を活用すると、委託者の相続が発生した際の手続きを先に済ませることができます。

本来であれば相続開始後に始まる遺産分割ですが、ここで信託契約を活用して手を打っておくことができるのです。

委託者亡き後も信託契約を存続させる形とし、かつ、受益権の引継ぎ先を指定しておくことで、遺産分割にまつわる手間を先に完了させます。

通常、相続時には相続人全員の合意のもと遺産分割をすることになりますが、相続時の手続きを信託契約で兼用できるため、財産の配分を先に完了させることができるのです。

仮に通常通りの相続手続きをする場合

もし、通常通りの相続手続きをするとなれば、判断能力の面でBさんは法定代理人としての成年後見人を選定する必要があります。

成年後見人は法定代理人として動いてくれますが、遺産分割で代理行為は終了せず、Bさんのお金の管理をずっと担当することになります。

一種、代理人がいるという安心感はありますが、家庭裁判所や後見人・後見監督人という第三者の管理下となり、規定の毎月の報酬の支払いも発生します。

どの家族にとっても利点のある制度とは言い切れませんので成年後見制度のデメリットについて押さえておいていただきたいと思います。

「信託+任意後見」により家族ぐるみでサポート

Aさんの希望を叶える家族信託の組成に加えて提案したのが、長女Bさんのための任意後見制度です。

長女Bさんは後見契約の意思能力を示すことができますので、次男Dさんとの間で任意後見契約を結び、Bさんの身上監護を含めて法定代理人としてDさんがサポート出来るような仕組みを作りました。

信託契約に加えて任意後見契約を組むことで、兄弟2人でBさんのサポートが出来るようになったため、ご相談者Aさんにも安心いただいています。

このように信託契約は家族の状況に合わせて自由に構成することができ、後見制度と組み合わせることでより良い設計が可能となります。

家族信託、後見制度それぞれの利点を活かしながら、相続も含めて総合的に計画することが可能となりますので、資産管理や暮らしのサポートで不安のある場合は、ぜひ司法書士等の専門家にご相談いただきたいと思います。

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