皆さんは「認知症対策」と聞いて、何を思い浮かべますか?
健康面なら「良質な食事」「睡眠」「適度な運動」等でしょう。

では、「資産の」認知症対策、と聞かれたらどうでしょうか?

「身内が預金口座を凍結された」「成年後見制度を利用する」などの話を耳にしたことがあるかもしれません。

今回の記事では、預金口座が凍結されるとどのように困った事態になるのか、金融機関は認知症の家族に何もしてくれないのか、などの話題について解説します。

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介護費用と口座凍結の問題点

金融機関では、口座保有者の意思能力が確認できない場合、口座の利用が凍結されてしまうことがあります。

口座を凍結されると、公共料金等の口座引き落としは継続しますが、窓口で定期預金の解約などの手続きが出来なくなります。

認知症を発症するなど介護費用が急に必要になっても、親の生活費・介護費用を、本人の預金から支払うことができない状況になるのです。

介護費用は「自己負担」が意外に大きい

公益財団法人 生命保険文化センターの調べによると、介護保険を利用しても、毎月の自己負担額は平均で7万円〜8万円(年間84〜96万円)かかっているというデータがあります。

また、介護期間の平均年数は約5年と言われているため、仮に上記の平均額で約5年間、費用を負担した場合、約500万円にも上る見込みです。

これだけの期間、少なからず介護やサポートをしながら、生活費や医療費等の資金を立て替えていくのは、ご家族といえど非常に重い負担となってしまいます。

平均寿命と健康寿命

厚生労働省のデータによると、2020年の日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳でした。

その一方で、自立して健康上の問題なく生活できる期間「健康寿命」については、平均で、男性72.14歳、女性74.79歳(2016年のデータ)と言われています。

人生100年時代とは言うものの、健康を維持できて自立した生活を送ることができる期間は実際には非常に限られているのかもしれません。

長生きの反面、健康面の不自由さを抱えながら、男性で約9年、女性で約13年もの間の暮らし方や生活費、介護費について考えておかなくてはならないといえるでしょう。

親族には負担が重い「介護費」「医療費」

このように医療が介護が必要となった本人のために、医療費、施設入居費、生活費等の支払いに充当するため、親族等は預金の払出しや振込が必要になるケースが多々あります。

さらに、預金残高が少なくなると、まとまった資金としては定期預金や投資信託等の金融商品しか残っていないケースも出てきます。

それらを解約するには窓口での手続きが必要となり、その際に口座の凍結を受けたりするケースも生じているのです。

金融機関が提供する「認知症対策」

高齢者人口の急増に合わせて、金融機関も「認知症対策」に焦点をあてた施策を出しています。

令和3年2月18日、一般社団法人 全国銀行協会は、銀行の窓口等において、高齢者やその代理人と金融取引を行う際の指針を改めて正式に発表しました。

※一般社団法人全国銀行協会
金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方について』令和3年2月18日 プレスリリース

【今回示された指針】

① 認知症を発症した顧客との取引においては、顧客本人の財産保護の観点から、まず第一に親族等に成年後見制度等の利用を促すのが原則

② 実際に代理人が手続きをする場合には、医療費等の支払いなど、本人の利益に適合することが明らかなときに限る

③ 意思能力の確認のために医師の診断書だけでなく、行員複数名との面談を設ける

統一的な指針は設けられたものの、基本は「成年後見制度(法定代理人)」が必要だという点は変わらず、一定の縛りも設けられていることになります。

全銀協の指針にも打ち出されている「家族信託」

上記①〜③の代理人取引以外にも、親族との財産管理契約による取引についても記載されています。

この「親族との財産管理契約による取引」が家族信託に該当します。

後見制度(法定代理人)とともに、全銀協の指針として「家族信託」が記載されているのです。

従来の「代理人カード」のリスクとは

従来からの制度として、本人が判断能力のあるうちに出金の代理人を指名する「代理人届」を提出して手続きをする「代理人カード」は取扱いのある金融機関がありましたが、限度額が設けられています。

また、一部の金融機関では、本人の判断能力低下後も窓口であれば出金ができるサービスを有する所もあります。

しかし取扱いのある金融機関でも、

  • 実際に対応している窓口は一部の対象店舗のみに限られるケースあり
  • 口座名義人である本人の判断能力が喪失したと判断された場合に代理人制度での取引ができなくなる可能性も

このような条件もあります。代理人の手続きをしていても、急に利用できなくなるといったリスクがあるのです。

ご自身のメインバンクではどのような対策が取られているのか、一度チェックされてみるのが良いでしょう。

新たな「代理人サービス」も一部に限られている

上述の全銀協の指針に合わせて、ある都市銀行において「代理人制度」のサービスについて公表がありました。

本人が認知・判断能力の低下に備えて将来の金融取引における代理人を指定できる「予約型代理人」サービスです。

このようなサービスが地元の銀行でも利用できると良いのですが、現段階ではごく一部の金融機関に限られています。

全国的に同じようなサービスが始まるかどうかは、現段階では不透明な状態です。そのため今、できる対策法を使って、認知症対策や資産対策をしていきましょう。

公的救済策「成年後見制度」について

全国銀行協会にて上記のような指針は出されましたが、銀行の実務で利用を促している「成年後見制度」の利用者は多いのでしょうか。

まず、成年後見制度を利用する主な理由として認知症の進行が挙げられますが、精神障害や知的障害、脳梗塞などの疾患を含めて、判断能力が低下する理由はさまざまです。

そして、認知症に罹患した方がすべて成年後見制度を必要としているものではありません。

このような数字のズレはありますが、認知症の患者数と制度の利用者数を比較してみましょう。

2020年の数字で認知症患者数は推計602万人、制度の利用「総数」は2019年末の数字で約22万人です。

単純な比較ですが、制度利用は認知症の全患者数のわずか3〜4%ということになります。

成年後見制度の利用が進まない理由とは?

制度の利用がなかなか進まない理由はどこにあるのでしょうか。

まず、全体の約8割で専門家が後見人に選定されているという現状があります。そのため家族の資産を第三者に委ねることになり、また、月々の報酬の支払いも必要です。

【成年後見制度の特徴】

  • 申し立て全体の約8割で専門家が「後見人」に選定されている
  • 家族の資産管理を第三者に委ねることになる
  • 成年後見人の就任まで1〜2か月程度の時間がかかる

上記のような特徴があります。

金融機関でも後見人が選任されるまでの間に必要な生活費など、やむを得ない預貯金の払い戻しに対応する方針を出してはいます。

しかし、成年後見制度にはこのような特徴やデメリットがあることを事前に理解しておく必要があるといえるでしょう。

家族信託について

もし介護が始まると、家族は介護という重い負担に加えて、お金の心配をしなくてはなりません。

将来、ある程度の遺産を得られるとしても、まとまった額の医療費・介護費は、やはり大きな負担となります。

本人の資産や売却益などにより賄うことができるのが一番の安心となります。

家族信託は、本人(委託者)の意思能力、契約能力があることが前提となる制度ですが、家族内で運用できる便利な制度です。

初期費用の面で心配されている方もいらっしゃいますが、一度スタートした後は後見人への報酬などのランニングコストは、原則かかりません。

むしろ早期に最適な内容で信託契約を組成することで、将来の安心が得られる仕組みづくりとなります。

現段階で現実的な選択肢を

金融機関をはじめとする生活サービスにおける認知症対策は、これから改善されていく可能性はありますが、現時点ではまだまだの段階だといえます。

いつ、心身の健康が低下するのか、将来のことは誰にも分かりません。

できるだけ現時点で実用的な制度を利用して、老後のリスクに備えていきましょう。

意思能力のはっきりした段階であれば、家族信託の利用も可能です。検討すべき選択肢の一つとして学んでみてはいかがでしょうか。

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