家族信託の相談相手は誰がいいの? 相談のコツを教えます!

2021年02月19日

家族信託は誰に相談するのが正解でしょうか?

訴訟なら弁護士、税金のことなら税理士、登記なら司法書士といった具合に相談先を区別することができます。

しかし家族信託となると、いったい誰に相談すれば?と悩む人は多いです。

家族信託の相談相手は誰にするのがベストでしょうか。

今回は家族信託の相談すべき相手と相談先を決めるコツを紹介します。

家族信託の相談相手は誰?

家族信託の相談先は司法書士・税理士・行政書士・弁護士などの専門家が一般的です。

しかし複数ある専門家のうち、どの種類の専門家を相談先に選べばよいのかは、実のところ難しい側面があります。

家族信託は法律・不動産・税金など、複数の要素が絡み合う制度です。

様々な要素を並行して検討しなければいけないため、家族信託といえばこの種類の専門家で決まり!といった判断が難しいのです。

しかも家族信託は昔からある制度ではなく、平成19年に整備された新しい手続きです。実際に利用されはじめたのはここ数年のことで、家族信託の経験が豊富な専門家はまだまだ少ないのが現状です。

法律の問題と聞くと弁護士を思い浮かべる人は多いと思います。しかし弁護士だからといって全員が家族信託について詳しいわけではないので、この点は注意しましょう。

相談相手を考える上でより大切なポイントは、選ぶ専門家の種類よりもむしろ、相談相手の経験値です。

司法書士・税理士・行政書士・弁護士など資格の種類にこだわるよりも、家族信託の知識と経験が充実している専門家を優先するのが選ぶコツです。

専門家を選ぶコツを教えます!

家族信託は新しい制度です。

専門家であっても家族信託業務については未経験であることが多く、それゆえ相談するにあたってはしっかりとしたリサーチが求められます。

以下のポイントを参考に信頼できる専門家を見つけましょう。

 

• YouTube やSNSでの情報発信
• 家族信託の受任件数
• アフターフォロー
• 相性
• 相談のタイミング

SNSでの情報発信をチェック

家族信託で実績のある専門家を見つけるにあたり、最も手軽な方法はSNSで情報発信をしている専門家を探すことです。

YouTubeやTwitter、ブログなど、家族信託に自信のある専門家は積極的にネットメディアやSNSを活用する傾向にありますので、それらを通して家族信託の専門家を探すアプローチはとても効率的です。

インターネット環境さえ整っていれば、時間に縛られずかつ無料でリサーチできますので、SNSを使った専門家探しはおすすめの方法といえます。

家族信託の受任件数

これまでに何件の家族信託をこなしてきたかを確認しましょう。

書籍を読んだ程度では不十分。実際に家族信託の依頼を受けたことのない専門家への相談は避けるのが無難です。

近年、家族信託の需要が高まり、専門家向けに出版された書籍が増えているのは事実です。ですが書籍を読むのとは別に、実際に業務を経験してみないと掴めない部分はたくさんあります。歴史の浅い家族信託においては尚更です。

相談先を決める際には、家族信託の受任件数を必ずチェックしましょう。

アフターフォローは大切

アフターフォローをしてくれるか否かも聞きましょう。

コンビニでモノを買うのとは違い、家族信託は長期にわたって契約が続きます。家族を取り巻く環境は月日を重ねるごとに変わりゆくもの。

それゆえ家族信託の契約内容も状況に応じて変更を加える必要が出てきます。

変更のたびに専門家を頼っていては手間も費用もかかってしまいますので、最初の段階で柔軟に対応できる契約書を作っておくのがベストです。

しかし状況によっては専門家に再度、契約書の作成をお願いしなければいけない場面もでてきます。

例えば特定の不動産を信託財産に追加しようとした場合、その不動産について登記の申請をする必要があります。

不動産登記申請は司法書士の仕事になります。あなたが家族信託を依頼した専門家が司法書士であればスムーズに登記手続きに繋げてくれるでしょう。

しかし家族信託を頼んだ相手が司法書士でなかった場合、アフターフォローがしっかりしてない事務所だと、それはうちの仕事ではないので司法書士さんにお願いしてくださいと、そう言われてしまうかもしれません。

各専門家同士のネットワークが整っている事務所であれば、必要に応じて最適の専門家を紹介してくれるでしょうが、フォロー体制がきちんとしてない事務所だと自己責任で新たに専門家を探す羽目になります。

不必要な手間を省くためにも、相談時にはアフターフォローの有無を確認しましょう。

最後は相性が決め手

どんなサービスにも当てはまりますが、仕事を頼む以上、人として信頼できそうかどうか、この点は欠かせないポイントになります。

家族信託では信託契約書の作成をお任せして終わりではなく、その後も専門家との関係が続く可能性があります。専門家との相性はとても大切な要素です。

家族信託で定めた内容は状況により微調整を加えたほうがよい場合があり、そのつど専門家と話す機会が訪れます。

にもかかわらず相性のよくない専門家に依頼してしまうと、相談に対して消極的になってしまい、結果として不完全な信託内容になってしまう恐れがあります。

また信託内容によっては、依頼した専門家が信託監督人に就任することがあります。

信託監督人は受託者を監督する人を指し、信託財産が契約内容に沿って正しく運用されているかをチェックする役割を果たします。いわば監督者です。

相性のよくない専門家が監督者になってしまうと、そのあとが大変であることは目に見えていますね。

1回切りのお付き合いではなく、専門家とはその後も関係が続く可能性があることを念頭に置きましょう。

相性や人間性も含めて考えるのが家族信託の相談相手を選ぶコツです。

家族信託を相談するタイミング

家族信託はできる限り早い段階で相談するのがコツです。

借金の相談ではもう少し早いタイミングで相談すれば破産せずに解決したのに…というパターンが非常に多いです。家族信託の相談も同じです。

タイミングが遅れてしまったばかりに家族信託契約ができず、本来解決できたはずの問題が解決できなくなってしまうことがあります。

認知症対策として家族信託を考える方は非常に多いです。

しかし認知症になってしまってから家族信託契約をしようと思っても、すでに手遅れというケースもあります。

契約を交わすには意思能力、つまり自己の行為の結果を判断できる能力が備わっていることが前提となるところ、認知症患者には意思能力が認められないと判断される危険があるのです。

意思能力が備わっていなければ家族信託契約を交わすことはできなくなってしまいます。

ひと口に認知症といっても度合いは様々です。認知症患者の全員が意思能力を否定されるわけではありません。

ですがタイミングが遅れてしまうと家族信託ができなくなる可能性があることは、必ず認識しておかなければなりません。

専門家選びも大切ですが、相談するタイミングも見逃せないポイントなのです。

最近は、人生100年時代といわれ、60代以上の方も、海外旅行に出かけたり、新しい趣味に興じたりと、とても元気です。

一方で内閣府の資料(平成29年版高齢社会白書)によれば、2025年には65歳以上の高齢者のうち五人に一人が認知症にかかると予想されています。

まだまだ若いし元気だから…という気持ちになるかもしれませんが、まだまだ元気だからこそ今のうちに相談しておくという人も増えてきています。

少しでも家族信託に興味があるのなら、なるべく早い段階で専門家に相談することがおすすめです。

家族信託でよくある相談事例と相談すべき専門家は?

家族信託の目的から、相談すべき専門家を検討するというアプローチもあります。

家族信託でよくある相談事例をご紹介しながら、事例ごとの適した専門家をご紹介していきます。

認知症に備えたい

家族信託は認知症対策として非常に有効です。

認知症になってしまうと、自分の預金や不動産、有価証券を自由に処分できなくなってしまいますが、家族信託をしておくことで、そのリスクを排除することができるためです。

また、会社経営者の方は、自分が認知症になった場合の経営リスクは深刻なものになりますので、経営権のスムーズな承継を求め家族信託に興味を示す人は多いです。

さらに、当初の相談目的は家族信託ではなかったけれども、結果的に家族信託の相談に繋がるパターンもあります。

認知症対策として遺言や成年後見制度の利用を考える人がいます。しかし遺言や成年後見制度は認知症対策として不適切あるいは不十分な面があります。

遺言や成年後見制度の弱点を補う形で、家族信託の相談に発展することも間々あります。

そして、認知症対策としての家族信託の場合の相談相手としては、司法書士が適任と言えます。

なぜなら、司法書士は家族信託だけでなく、認知症とかかわりの深い、成年後見制度にも詳しい場合が多く、認知症に対する法的な対策に関して、最も知識と経験が豊富であると考えられるためです。

介護費用が心配

この事例は、上記の認知症対策の事例の中の一類型とも言えます。

介護費用の相談から発展して、家族信託の話になる事例です。

家族信託を使うことで、介護費用の確保を行うことができます。

高齢者が介護施設に入所する場合、立ちはだかるのが介護費用の問題です。

本人に預金や利用するつもりのない所有不動産があれば、それらを引き出し、あるいは売却し、入所費用に充てようと考えるのが自然でしょう。

しかし本人がすでに重度の認知症にかかってしまっていると、意思能力との関係で、本来できるはずの預金の引き出しや不動産の売却ができなくなってしまう恐れがあるのです。

ここで家族信託を使えば、本人の家族が代わりに預金の引き出しをしたり不動産を売却したりする決定権を持つことができます。

本人に財産があるにもかかわらず、それらを介護資金として使えないというジレンマを解消できるのです。

介護費用に不安があるのであれば家族信託を視野にいれることで、将来のリスクを取り除ける可能性が高まります。

この事例の相談相手は、認知症対策同様、司法書士が適任です。

子供の結婚相手に財産を渡したくない

家族信託を使えば財産の行方を自由にコントロールできます。

息子に財産を相続させるのはいいけれど、息子の嫁には財産を渡したくない。

あまり聞こえのいい話ではないかもしれませんが、人ぞれぞれ、事情は様々です。

このような希望で専門家に相談する方も決して少なくありません。

しかし遺言によってこの目的を達成しようとしても難しく、最終的には息子のお嫁さんに財産が渡ってしまう可能性は高いです。

相続によりいったん息子さんに財産が渡ってしまえば、その財産は息子さんのものであり、その後の処分の仕方は息子さん次第となってしまうからです。

遺言で財産の行方をコントロールできるのは最初の相続までであり、それ以降は関与できないのが法律上のルールです。

しかしこの不自由さは家族信託を使いこなすことで解消できます。

家族信託を使うと二次相続以降であっても、財産が誰のもとに渡るかを指定できるからです。

特定の誰かに財産を渡したくないなどの事情があるのであれば、遺言では実現できないケースもあります。

遺言の相談をするのであれば家族信託も扱える専門家に相談するといいでしょう。

このような、相続関係が複雑な事例の相談をする場合には、将来争いになる可能性も踏まえると弁護士が適任となります。

将来争う可能性までは考えられない、ということであれば、司法書士や行政書士でもいいでしょう。

相続税の負担を軽くしたい

相続税対策が目的で家族信託の相談に訪れる人もいます。

しかし家族信託を利用しても、相続税対策にはなりません。

一般に相続税対策とは財産の評価額を下げることを意味しますが、家族信託を利用したからといって直ちに財産の価値が下がるわけではないからです。

家族信託で直接的に相続税が軽減できるわけではありませんが、相続税対策を妨げられるリスクは取り除くことができます。

家族信託を使えば、本人が大病や認知症を患ってしまっても、他の信頼できる家族に相続税対策を任せることができるからです。

すでに相続税対策をしている、あるいは将来相続税対策をするかもしれない人は、計画を確実なものとするために家族信託を使うのも有効な手段です。

相続税対策を見据えている場合、相談相手は税理士が適任です。

税金に関するアドバイスは、税理士しかできません。

しかし、家族信託について深く理解している税理士は多くないので、相続税対策を見据えた家族信託の相談をするときは、家族信託に詳しい税理士か、家族信託に詳しい他の専門家と連携している税理士を探すようにしましょう。

家族信託にかかる報酬や費用は?

家族信託にかかる報酬や費用は主に以下の5つです。

 

1. コンサルティング報酬
2. 家族信託契約書作成報酬
3. 公証人手数料
4. 不動産登記報酬
5. 不動産登記の登録免許税

 

専門家によっては1と2を合算して信託報酬と扱っているところもあります。

信託する財産に不動産が含まれていなければ4と5は不要です。

ですが不動産が含まれていれば、司法書士に支払う不動産登記報酬や不動産の名義移転にともなう登録免許税が追加で発生します。

つまり不動産を信託財産の内容に含めると費用や報酬は自ずと高くなります。

公証人手数料と不動産登録免許税は、法律で料金が決まっています。一方、コンサルティング報酬と家族信託契約書報酬、登記報酬は専門家によってまちまちですので、相談予定の専門家に直接問い合わせてみるとよいでしょう。

まとめ

家族信託は新しい制度です。

それゆえ家族信託に詳しい専門家は限られており、相談相手となる専門家を探すのは通常の案件に比べて骨が折れます。

とはいえ家族信託に自信のある専門家はYouTube やSNSで積極的に情報発信をしていたり、書籍を出版していたりしますので、頼りになる専門家を探すのはそう難しくないでしょう。

また家族信託を依頼した専門家とは継続してお付き合いする可能性もありますので、知識や経験もさることながら、人として信頼できる相手を選ぶことも見逃せないポイントです。

今回ご紹介したポイントをヒントに、あなたにとって頼れる専門家を探してみてください。

 

この記事の監修者

司法書士 梶原隆央(かじわらたかひさ)
神奈川県出身
平成21年司法書士資格取得
トリニティグループの信託部門にて、 実家信託から信託財産数億円に及ぶ信託、 自社株式の信託等、幅広く信託案件に対応。